福岡市南区はとても大きな区ですが、その南、お隣の 早良区、那珂川町にもかかる里山。と言っても標高 592m在ります「油山」。その麓の長閑な町に、 2007年12月から四ヶ月掛けて引っ越して来ました。
「油山」とは珍しい名前ですが、なんと成務天皇 48(178)年にインドから渡来した僧「清賀上人」が椿油 を採った事から名付けられた山。1972年、福岡のロッ ク・ミュージックが全国を席巻した年にインド音楽を始
点に「世界の民族音楽」を始め、その延長線に「昆虫飼育」。その再開を願って引っ越して来た山の麓。その山がインド僧侶と縁があるなんて、なにやら運命的です。
2004年初めてソロ演奏で九州に訪れた際、誰かに呼び止められた気がして振り向けば、博多空港脇の丘でした。「やっと着たか」の様に私を眺めていました。「前世の何人か」「ご先祖の何人か」がシルクロードから九州に渡った「放浪楽士」や「僧侶」だったと信じる私にとって。「油山」と「清賀上人」の話には驚き、感動しました。「清賀上人」のお弟子の一人に、前世かご先祖がきっと居たのでしょう。
「引っ越し」と言っても「民族音楽センター」の拠点は変わらず東京・吉祥寺。ですが、家族(猫さん)のほとんどが住むところが「自宅」感覚です。楽器、レコード、文献、楽器製作・修理道具、昆虫・淡水魚飼育道具、2tトラック20台分の荷物を毎週の様に数ヶ月。吉祥寺から送っては福岡に飛び受け取る。その際に二匹ずつ引っ越しでした。
日本初の「民族音楽ライブスポット」を1978年に始め1999年に閉店し、その後、日本の伝統邦楽の修行と共に再開した「昆虫・淡水魚飼育」。邦楽と共に「やり残した」「ライフワーク」でした。ところが皮肉な事に、九州と吉祥寺を月二三回行き来し始めた2004年の夏の熱波で、アルバイトさんに任せた淡水魚、昆虫のほとんどが壊滅。生き残りを人に譲って「飼育中断」でした。 その戒めと無念を胸に「何時の日かの再開」を夢見た当初、北九州市若松区、福岡の西の海寄りの糸島郡、福岡県の南の那珂川町、そして油山が、猫さん達ものんびり過ごせて、自然が豊か!で良いだろう、と学んでいました。この三四年、ご縁が続いたのが油山でした。
不動産屋さんの車で初めて物件を見に連れて行って貰った一件目。インスピレイションでしょうか「即決」でした。
「福岡市繁華街よりは1,2度気温が違う」と言われるエリア。2007年12月から4月は寒くて体が動かない程でした。春や夏の自然や昆虫の事等考える余裕も無く。 吉祥寺旧家、吉祥寺新居、福岡旧家、福岡新居の四つの家賃に運送費。加えて家族の無事の移送。体を痛めてでも急がねばならず。 加えて「縦横高さで決まる規定重量」の範囲内に詰め込んだ大型段ボールは平均30 殻40kg。 「物を持ち上げる筋肉」と肋骨を痛めてしまいました。
引っ越し荷物が庭に積まれ、近所から「怪しいブルーシートの家」と言われた程の混沌の最中。リハビリを兼ねて庭仕事。ゴミだらけの庭を開墾して家庭菜園を作り、超大型飼育小屋を七つ。実際その様な作業しか出来なかった程、筋肉、筋を痛めていました。
その代わり、庭のあちこちに、合計30坪程の畑が出来て、昆虫への「無農薬野菜」は人間もたっぷり頂く程穫れました。
飼育小屋の中には、各種昆虫の「食草」を植えました。
初めは雑草さえ生えてくれずに心配しましたが、春になり初夏になる頃には見事な草むらになってくれました。

そして、初夏。油山には沢山の昆虫がまだ元気に居ました。
もちろん、ここでもこの10年で激減していると言われます。しかし東京の感覚から言えば「楽園」。何よりも便利です。
4kmずっと続く坂道はきついですが、自転車で採集に行けます。音楽の仕事にとっても「市街地迄40分」「空港迄70分」。全国に演奏に行けます。同じ事を東京の裏高尾、奥多摩で試みたら、「市街地迄2時間」「空港迄3時間半」。ほとんど「ご隠居」になってしまいます。
ホーム・センターもコンビニも近く、ご近所さんも素朴で温かく。
引っ越しのダメージは体も、資金面もまだまだ残ります。多くの方々に応援、ご支援を頂きながら、借りも返せないままですが、理想的な生活が始まりました。
正直この数年の東京〜九州通いの生活は過酷であり、落ち着かない部分が多々在りました。
「楽器だけのため」の部屋の家賃が二部屋35万。これは続くまい、と引っ越しを始めたら、教室の大家さんが亡くなり、ダブルで引っ越し。仕事をしながら半年掛かりました。仮教室にもなった自宅には猫さんと山高く積まれた楽器。その自宅の借家期限が切られてしまって、思い切って福岡への引っ越しでした。 常用楽器の他は段ボールに積み込まれ、幾つか破損も出ました。
「昆虫飼育も無念の中断」「楽器もそまつにしたまま」精神的にも信望の数年でした。
「昆虫飼育」は2009年の出版も念頭にあります。この夏は音楽の仕事の立て直しも含め、頑張っています。
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